平成14年度 一春季融合フォーラムin 紫波一
        学校週5日制を融合で楽しくすごそう!
                        日 時:平成14年6月1目(土)
                      会 場:紫波町中央公民館

パネルディスカッション
「学校開放による生涯学習のコミュニティづくり」


              パネラー:紫波町教育委員会教育長         川村 秀彦 氏
                    仙台シニアネット代表            庄子 平弥 氏
                    新潟県大湊小学校長            渡辺 正親 氏
                     長野県上松町教育委員会教育次長   田上 洋介 氏
         コーディネーター:学校と地域の融合教育研究会長     宮崎  稔 氏

《コーディネーター:宮崎稔氏》
・すばらしいパネラーばかりで、何時間でもお話をお聞きしたいメンバーではありますが、パネルディスカッションなので、次から次へと話すような形で、一人ひとりの話が、あまり長くならない形で進めたい。
・今日の会で結論を出すつもりはない。思いのたけを出してもらい、まとまるより、何か明日からできそうということの、ヒントが出たらいい。
・まず、融合のことも含めて、自己紹介をしていただきたい。

《パネラー:渡辺正親氏》
・ ステージ右側で、ペンを持っているのは、新潟大学の学生(4人)全体の話の流れが見えるように、グラフィック・ファシリテーターをしてくれる。

・ 私は学校教師ですが、4年間、県の行政に入った。融合研は、知ったら最後、ぬけられない、おもしろい。

・ 私の学校は開放しません。なぜなら、隣にある中央公民舘が困るから。中央公民館には、図書室もパソコンもある。校区に地区公民館が3つある。普段は集会所のようなもので、かぎがかかっている。これを開放したい。

・ 子どもに聞くと、地区公民舘は、行きたくない、何もやることがないという。できることといったら座布団投げだけ。だから今、学校では子どもから本(漫画や絵本)を集めてそこに置くことにした。それ以外、学校は協力しない。

・ 地域や家庭が生きる力を培う。学校や行政は口出しをしてはいけない。行政は、かぎ当番をする人を雇うしかできない。

・ 親は関わらないで、行政や学校や公民舘におんぶに抱っこしている。人任せの人が多い。これをどうするか。

・ PTA総会で皆さんのPTA会費が、自分たちのために使われた実感があるかと聞いてみた。ほとんどない。

・ 課題は、どうやって人間関係(調整能力)をつくっていくかということを分ってもらうこと。


《パネラー:田上洋介氏》
・ 長野県の南側、木曽川の上流、上松町の教育次長。

・ 学校週5日制のアンケートをした結果。
子どもに何をやるか聞いたところ、10人中9人がファミコン、外遊びはなかった。親からは昔遊びが40くらい出てきた。親の遊びが子どもに伝わっていないのではないか。

・ アンケートから、地域や家庭の教育力が弱まっている。PTA活動に終始し、子どもの居場所づくりに関心が薄い。お母さんがPTAに行くからお父さんは来なくてもいい。だからお父さんはパチンコなど。そのため、担任の先生の名前すら知らない父親がいっぱいいる。(例 2年末の父親委員会に行って初めて、自分の子のクラスを知る、担任にあいさつをする有り様)

・ ジュニアスポーツで、本来は家庭で、自分の父親から教わるものを、少年団指導者にお願いする。(子どもをしゃきっとしてくれる)

・ 地域が希薄になっているのではないかと、野外スポーツのネーチュアーゲームを中心に、総合型地域スポーツ活動を導入した。学社融合と総合型地域スポーツクラブをくっつけていった。住民に違和感もある。みんなでまとまってやろうといっても、グループでまとまり、お互いが連携することには抵抗があるようだ。

《パネラー:庄子平弥氏》              
・ 私と紫波は、昔、日詰の郵便局長がのんべい友だちだった。それから私の好きな銭形平次の作者・野村胡堂の生誕地ということで縁がある。

・ 紫波町はリサイクル事業が盛んなところ、人間のリサイクルをやってほしい。シニアをリサイクルさせ、社会のためにもう一度大事にしてほしい。

・ 昨年の(紫波町の)Iボラ(ITボランティア)結成時と、今日のNPO法人化の総会に招いていただいた。

・ これからの社会は、地域、行政、学校が手を取り合ってお互いがパートナーとしての役割、組織を作る大事な時期である。

・ 今までは、個々がバラバラ(自分がえらい)。平成8年春に、学校と地域の結び方にも問題があるという講演をしたとき、コーディネイトしてくれたのが、融合研の宮崎先生、それからのお付き合いだ。

・ 学校側は、子どもは授業が終わったら家に帰る。かぎガチヤン、遊ばせない。それに対して、門を開けておけとスポーツ少年団に実現に向けて取り組んだが難しかった。今日的には学校はずっと開放されている。

・ 今までずっと、市民側からは、教育は学校に任せる。先生の方もわれわれに任せておけ。そして、その結果は今日の混乱。

・ 行政は、もう少し、市民に対して信頼されるように、果たすべき役割を考える。経験のないことや前例のないことには手をつけるな。手をつけないと出世するという風潮を改めなければならない。

・ 市民の側も、言いたい放題、勝手放題、言ったからには責任を持てと言いたい。


《パネラー:川村秀彦氏》
・ 日本全体を考えると、子どもの教育を学校だけに任せておくことができない時代になった。

・ 画一的に効率を追及する、学校はそういう段階ではない。

・ 学校にお任せは無理な時代、しかし、先生方の力量が低くなったのかというとそうではない。

・ 学校、家庭、PTA、地域の連携・協力が重要だ。いろんな活動場所、立場の人々、と関わって、子どもたちをよりよく成長させていきたい。開放は、いろいろな所属や場を与えてくれる。

・ 高度化の現在の人間関係は、間接的関係が多く、直接的関係は少なくなってきている。親や地域、教師は、子どもと対等に直接、愛情を注ぐことが大事だ。

・ 私は中学校教師だった。戦後の義務教育の中で、「知的教育」と比べると、「心の教育」はいささか不足してきたのではないか。心の教育は体験を通して培われる。紫波町では、環境と福祉教育の町として取り組んできている。

・ 環境の町とは何なのか、循環型町づくりとして、100年後の子どもたちが、自然が豊かで安全な町を残しましょうと取り組んでいる。また「ピンピンコロリ」(生涯現役)きるよう、前教育長を所長に未来研究所を設立、元気はつらつ委員会や未来探検隊を組織している。


・ 中学校3年生は7月の県大会が終了すると部活を休止する。その影響で、高校に入ったとたん、ケガをしたり、能力を伸ばせない子が多い。そこで、部活終了後、いろんなものをやりたい希望者を30名募集、高校に入るまで基礎トレーニングし、健康を維 持する教室を開く予定だ。30名は、意欲のある子どもを優先して所属感を持たせたい。

・ 岩手では、昭和40年より教育振興運動に取り組んでおり、11地区に教育振興運動実践協議会がある。校長会で、学校はまだ敷居が高いよ、敷居を低くしてやってくださいといっている。敷居を低くするということはどういうことか、検討中である。

《コーディネーター:宮崎稔氏》
・ トラブルやうまくいかないことを乗り越えて今日がある。失敗事例等もお話いただきたい。おんぶに抱っこの体制、構成員の意識を高めることでコミュニティづくりをしておられる渡辺さんからお願いします。

《パネラー:渡辺正親氏》
・ 生きる力を養うことは、学校の中では無理だ。コミュニティと生きる力を結び付けていく必要がある。

・ 子どもは、学校という特殊世界で育つからおかしく育つ。同じ年代だけが集まり、四角い箱の中で育つ。

・ 新潟県では、新潟町づくり辞典を作った。総合的学習の時間の調べ学習に役立つと思う。お金を何億円かけても満足しない。新潟県には111市町村ある。1町1村に中学校がひとつだけという小さな町村が、76ある。地域の人たちは元気である。囲炉裏端会議というのがある(ステップは5段階)

・ まず、自分の地域を歩いてみる。そして、そのいわれを聞いたり、見て回ったりしてマップにおろす。

・ 「夢がたり」が、生きる力につながる。どんな地域にするのかな、子どもの目線はよく知っている。(例えば、何でバスが前を素通りして行くのにバス停まで行くのかなとか、どうして子の町にはコンビニがないのとか、柔軟な発想)

・ 田んぼを作ったり、ニワトリを育てたりすると、生きる力がつくというのは嘘だ。田んぼつくりをして、どんな力をつけたいのかよく考える必要がある。

・ 学校というのは特殊な世界、その中で基礎基本を身につける。地域の大人に入って体験する。そのために開放するのだ。


《新潟大学生の目から見た具体的事例》
・ 土日に、新潟市大潟地区で公民館活動をしている。「地域学」

・ 自分たちはこの町でどう生きたいか、自分たちでプランを作ろうとした。しかし町には、自分たちばかりでなく、いろんな人がいることに気付いた。だから、自分たちだけで考えることはおかしい。みんなで考えようと、3年前、9つの小中学校を巻き込む東新潟ネットワークを立ち上げ、同じ上俵の上で活動をしている。ぼくたちも学び、子どもたちやおじいちやんたちから、元気をもらっている。

《コーディネーター:宮崎稔氏》
・ たとえば、プールで泳げることは真の意味で、生きる力なのか。川の流れの中でも泳げるということが真の生きる力ではないのか。

・ 駄目な親はたくさんいるよ。果たして、そんな親たちに子どもを預けていいの。親の中には、教えすぎる人もいれば、何も分らない人もいる。そんな人に子どもを預けていいのという、閉鎖的な先生もいる。その辺を、庄子さんからお願いします。

《パネラー:庄子平弥氏》
・ 今の保護者、地域の人は任せられるか。敷居の高いのはがまんできる。それ以上に、今は壁がある。壁は破らないと入れない。学校は入りにくいところである。

・ パソコンを教えることで、免状はないが、学校に自由に入っている。(開放的)すっかりお任せいただいて、一緒に生徒になる先生や、いなくなる先生がいる。

・ 学校には、かたくなによそ者を入れない、拒む姿勢がある。

・ 玉沢小学校と仙台シニアネットの関係
  野沢教頭より、電話でパソコンがほしいという連絡が入った。中古で20台が始まり、PTAと校内ランを整備、今度は教えに来いということで、行くと子どもばかりかPTAにも教えた。そして夜の10時に乾杯。

・ 壁をなくすところから、学校と地域が結びつく。幸せをもたらしたのは子どもたち。

・ 連携と融合は違う。連携は学校の都合で、学校側には協力して、当然だという姿勢がある。融合は俺には俺の都合や言い分があるというように、双方にメリットがある。壁は取り除き、風通し良くしたい。

 ・ 行政にも問題がある。高齢社会で人生80年、前例・経験のないことには手をつけないということで、人生50年時代からのことを踏襲している。そして今でも、大学教授の高齢講座をやっている。聞く方は暇つぶし、しゃべる方は生き甲斐、これの繰り返し。高齢者に、実践的活動の中で、社会参加のできる力をつけていくのが社会教育。 

・ 学校支援ボランティアとして、例えば、高齢者はパソコンやウサギの飼い方、餌のやり方など、それぞれに力を持っている。その力を地域の子どもに還元して行く力をつけてやるのが生涯学習社会における行政の役割だ。

・地域住民にも、教育は学校任せ。学校の先生の顔も名前も知らない親。温泉に行って麻雀やゲートボールばかりをする高齢者。どういう社会だろうか。大学生にその様子を色にたとえると、どんな色かと聞いてみると、ブラックという言葉が返ってくる。

・今の高齢者の責任でもある。リタイアしたあと、積極的に社会参加(=生き甲斐)していないからだ。

・高齢者は疲れ果てるまで使え。こき使え。あまり大事にするな。循環社会、血の巡りをよくして、市民も一緒にパートナーとして手を組み合っていく。

・とかく、お上というのは、頼みもしないのに世話をする。住民は、お上任せの民主主義、困ったときだけ文句を言う。

《会場:千葉県鎌ヶ谷の江口勝善校長》
・ 教師の璧が厚いのはなぜか。先生方が、学社融合のうまみを知らないからだ。先生方の合意を大事に、うまみをとらえてきた。うまみに気付くプラン作りをしてきた。

・ 学校と地域がうまく交われない。そこで、学校を交われる場所にするために、校庭の5分の1を畑にした。そして、学年に1区画ずつ分けた。畑の世話に親が来てくれ、親同士のつながりができた。いつの問にか、草の生えない畑ができた。こういった仕組みを作っていく中で、よかったねとという気付く。

《コーディネーター:宮崎稔氏》
・ 学校は警戒感ばかりが、先に出る。学校はコミュニティの場である。
・ 学校とは何か、社会とは何か。学校とは学童、社会とは社会人、人間対人間、触れ合いの場をつくるのが大事である。

《パネラー:川村秀彦氏》
・ 学校の敷居が高いというのは、実は高くないのに、地域の方々が高いと思っている場合も多い。(学校に入らないで、そう思っている)

・ かつての中学校で、祖父母が学校に来る機会がないといわれた。そこで、春の体育祭には、中学1年の祖父母を招待した。秋の文化祭には、中3の祖父母を招待した。お昼は中学3年生が作ったカレーライス。次年度は、祖父母がたくさんのおかずを持ってきてくれた。ちょっとしたきっかけで、敷居は高くなくなる。


・ 何をきっかけにとりかかるか、お互いの心を開き、理解しあうことが大事。

《パネラー:田上洋介氏》
・ 心を開くということは同感である。行政マンも負けないでがんばりたい。

・ 「ゆうゆうプラン」10年に基本構想、13年に議会の承認を得た。
  いつでも、どこでも、誰でも 「遊び心」を受け入れる素地がない。秋津、上越、鹿沼を研修し、腹をくくって動き出した。

・ 家庭の教育力がなくなっている。そこで、「笑顔」と「愛撫」を重点に自然との触れ合い(ネーチュアーゲーム)により、子どもと一緒に自然を分かち合う。 

・ 「宗教的情操」という言葉を入れた。私の場合は剣道で、子どもの焦点の会わない目を、目が合うように。

・ 「脳力」8歳までに運動機能の85%までできるという考え方に立ち、幼児児童教育に力を入れる。

・ ある実験結果より
  「キレ度」(前頭葉部分で、押さえ込む気持ち)今の日本の小学生は小学6年生がピーク、現在の中国や日本の30年前は、小学2年生がピーク。3歳から8歳までの時期にバーチャル(ファミコン)ばかりしていると、キレ易い。この時期のどう運動したかどうかで決まる。

《コーディネーター:宮崎稔氏》
・ 田上さん、この計画の中に、住民の意見が入っていますか。(べ一スは融合研から、体育指導委員のメンバーや社会教育委員のメンバーから意見を聞いている。)
・ 行政が勝手に計画を作ってもうまくいかない。

《会場:栃木県鹿沼市立石川小学校教頭、越田幸洋氏》
・ 学校の教育目標を、地域の人に計画段階から一緒に入っていただいて計画している。

・ 学校開放は、平日の夜や土日ということばかりではなく、平日の昼間に開放をして、学校に役立つように、授業に生かされるようにしている。

・ そして、学校の授業をやっていて「ふるさとづくり賞」をもらった。学社融合は、ふるさとをつくることができる。

・ 学校評議員会議〜目標づくりのための委員を5・6年の児童を入れた。小論文審査によって委員を選び、その小論文を資料として討議した。

・ 石川地区の教育目標
  子ども、住民、保護者からなる「石川の教育を考える委員会」を作った。17の分野で活動する学習支援委員会が立ち上がった。子どもも、まず目標をつくる所から、計画段階から参画する。

《パネラー:川村秀彦氏》
・ 学校教育の立場から、成人した暁に、町の学校で勉強してよかったと思われる教育をしたい。そのために、第一は学力、これが根幹となる。第二に生きる力、ひとりの人間が、地位も名誉もなく素っ裸になった時にどう生きるか、そのときに発揮される強くたくましく生きる力が本当の生きる力だ。

《パネラー:渡辺正親氏》
・ 行政の動き、昨年2月の上越の教育長の発言。365 日学校を開放する。かぎも地域に預ける。許可さえあれば日中でも使っていい。学校のグランドデザインを校長が作る そして、特色ある教育を一枚であらわし、地域に説明しなさい。

・ 「学習参観」から「学習参加」に。学習支援ボランティアとして一緒に授業の中に入つてください。担任は年間5回以上そのことを企画しなさい。なれることと、趣旨を説明できることが必要、独自にコミュニケーションして作っていきなさい。

《パネラー:田上洋介氏》
・ 行政として、学校間格差をなくそう。運動機能を高めることを奨励していく。(細胞は毎日10万個ずつ死んでいる。細胞と細胞を結ぶシナプスを太くしていこう。)

・ 学校の敷居を壊す。運動会前に、緊張をリラックスさせる「ゆるゆる体操」をさせたら、その体操をした子が運動会でみんな1〜3位に入った。校長先生が驚き、全校児童に、ゆるゆる体操をさせることにした。(頼まれた)

・ 平成10年から14年度までに、国庫補助率業を4,200万円もらって子どもの体育能力を深めていった。プロ意識を持てば、国からもお金を持ってこられる。

《コーディネーター:宮崎稔氏》
・ 地域の人々と活動することによって、子どもたちの笑顔を作る活動いいことだ。
・ 忙しいのなら、やり方を考えよう。

《パネラー:庄子平弥氏》
・ この事業は何のためなのか。子どもたちの幸せをどう守っていくかで論議していきたい。子どもたちがこの町で育ってうれしい、幸せだと誇りに持つ、心のふるさとをつくる努力をしよう。ふるさとを、一生涯誇りに持つ子どもに育てていくために、それぞれが何を担っているか論じることが大事である。


・ 心の教育は、先生が教室の黒板を背に、百万べん唱えても通じない。体験学習を通じて育てられる。私が参加しているデーサービスや託老所に、中高生が絶えず交流しに尋ねてくる。その交流からお互いの気持ちを学びとることができる。お互いの持って
いるものを出し合う努力が必要である。

《コーディネーター:宮崎稔氏》
・ 子どもを産んで親になったが、大人になっていない人が多い。
・ それぞれが悪いと言い合っているのでは何も出てこない。良さを出し合い、論じ合い、大人としての知恵を出し合う。大人だって捨てたものじゃないと、子どもに評価され町をつくって行こう。

・ ありがとうございました。

           紫波おどり?

         


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