分科会・「はじめての学社融合」

               2001年7月8日(日) 午前9時〜10時30分  古峰の間

事例発表者(発表順) 金 子 禎 人 氏 (新潟県川場村立中保倉小学校教諭)
               高 井 千 幸 氏 (静岡県引佐町立井伊谷小学校支援ボランティア)
               江 口 勝 善 氏 (千葉県鎌ヶ谷市立初富小学校長)
               竹 内 久 子 氏 (仙台市泉市民センター社会教育主事)
               和 泉 裕 一 氏 (新潟県青海町立市振小学校PTA前会長)
               中 川 洋 太 氏 (神奈川県厚木市教育委員会社会教育主事)
司 会           宮 崎    稔 氏 (学校と地域の融合教育研究会長)


○事例1は、新潟県の金子氏より、勤務校である小学校(児童数45人)の運動会において、地域の参加者と児童が一緒に参加できる種目として「Yosakoiソーラン」を取り入れ、学校・PTA・地域社会が融合した実践例が発表された。今後どのように継続するかが課題であると結んだ。

○事例2として、静岡県の高井氏より、ご自身の子どもの不登校をきっかけに始まった、学校支援ボランティアを、周囲との摩擦を乗り越え、理解を得ながら学社融合を実践し、行政を巻き込んだ活動へ発展、町全体の「子育てフォーラム」を開催するまでの例が紹介された。 

○事例3として、千葉県の江口氏より、大阪市池田の事件を契機に、学校を閉ざすのではなく、開放を継続し、地域全体で子どもの安全を守る事例と、地域の協力を得た畑づくりの実践例等が学校経営の立場から発表された。いずれの場合も、学校の情報を公開し、家庭・地域との信頼関係を築くことが重要であると述べた。

○ここで、ワンクッションを置く意味で、宮崎会長より,「融合と連携の違い」と「狭義・広義の学社融合」について解説があった。

 これは、一日目の岸副会長の提言を踏まえて,具体例に基づいて説明されたものである。

連携と融合の違いでは,事業の企画主体・責任の所在・メリットについて説明があった。また、狭義と講義の学社融合では、鹿沼では学校教育と社会教育の融合という視点から行われていて,これを便宜上狭義しており、習志野の秋津では,学校という場で地域社会の生活全般と融合している状態があり、これを広義ととらえているとのことであった。これは、分け方の問題であって,どちらが上位概念であるとかの問題ではないということであった。

○事例4として、仙台市の竹内氏より、スクールパートナー・ジョイント事業が紹介された。嘱託社会教育主事(現役教諭を社会教育主事として嘱託する仙台市の制度)が学校を離れ、市民センター(公民館)と一緒に児童の学校外活動の企画運営をした。この事業では、学校教育に社会教育の手法を取り入れるよい機会となり、地域を知ることができた、また、地域も学校を知ることができた。今後は、学校・地域・ボランティアをどのように結ぶかが課題であると述べた。

○事例5として、新潟県の和泉氏より、PTAが中心となり、公民館と企画運営したサマーキャンプや町の助成を受けた漁港壁画づくりの例を紹介し、PTAが学校のお手伝い的役割から脱却し、主体的に活動するためには、会員が楽しみながら参加できるよう、会員の意見を集約し、改善を図ることが今後の課題であると述べた。

○事例6は、厚木市の中川氏より、小中学校・公民館・地域社会が一体となった、「ふれあい遊歩道」整備事業をとおした学社融合事例が発表された。「できないことはできない」といえる組織づくりや、継続性のある事業計画を作るよう配慮したことが発表された。

○事例発表後、質疑応答がおこなわれ、質問の中で、「学社融合とまちづくりはどのように結びつくのか」の問いに対し、学社融合をとおして、場所づくり、人づくり、仲間づくりをすることがまちづくりにつながるのではないか。人とひととの出会いと共有体験が、関わりを深め、つぎのステップへ進んで行く、この繰り返しがまちづくりにつながるのではないか。子どもを中心に据えた活動がまちづくりにつながり、それが学社融合なのではないかなどの意見が発表された。

 最後に司会を務めた宮崎会長が、「学校は開かれてきているが、そのことを知らない地域住民も多い、もっと地域に発信する事により、子どもを中核としたまちづくりに発展する学社融合ができるのではないか」と結び、分科会を終了した。

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