分科会記録(鹿沼づくし)

●第1日目・第1分科会(記録が未着につき「次号で」報告します)

●第1日目・第2分科会   発表「石川小学校にみる学社融合」   会場; 霧降の間
        事例発表者   石川小ボランティア

司会;野澤令照 (融合研・監事)
記録;阿久津美春

【発表内容】 いざわさん(教職にあったとき、学社融合に携わった)

生涯学習等に関連した研究指定を受けた。教員の発想の転換が必要である。一人ひとりの教員がしたいことを挙げるようになった。いざわさんも音楽主任の立場から、思考を広げることにした。

・鑑賞指導に疑問を持ち「生演奏を聞かせたい」と考え地域に呼びかけた。→委員会発足
・音楽に関心がある方に呼びかける活動に広がり,人材が集まってきた。→無償
 ↓
(退職)地域の一員として活動する立場に変わり、この活動は6年目を迎えた。
     地域全体で音楽活動を支えていこうとする意欲をもって取り組んでいる。
・ベースとして市民ボランティアのカリブーがあり、ボランティアが活動的であったところに学校側の要請があり、進めることができた活動であるといえる。
・始めは鑑賞態度が悪かったが,次第に良くなり,聴く聴かないの選択も子どもがするようになった。
・ボランティアの方とも気軽に話せるようになり,いろいろな触れ合いが生まれるようになった。
・教師の教材研究の負担が軽減された。(学年で学年部で授業をおこなう)
・他校では全校音楽の時間をとり、ボランティアと一緒にミニコンサートを取り入れる授業を行っている。
・はじめは教員の方が受け入れに難色を示したが,ミニコンサートを見て実施に踏み切った。

(実際の楽器演奏の体験を写真で説明)

・オーボエ;盆踊りコンサートとして   ・琴   ・チェロ
・合唱;中学校の吹奏楽と        ・尺八   フルート
・文化サークルとコンタクトをとって話を進めた     ・声楽   ・クラリネット   ・アンサンブル
・警察の音楽隊(交通安全のメリット)
・郷土芸能   ・民謡   ・舞踊
・アジアの音楽(国際交流協会);胡弓   
・演奏を聴く→楽器によっては演奏体験
・子どもをひきつける内容を考えてくれる(ex.アニメ)

・きちんとした打ち合わせはできないが、タイムテーブルをファックスしてきてくれる。(来る人も工夫してくれる)

・ボランティアが準備,学校側が手配,校長名で依頼。

【質疑応答・感想・意見】

Q1.通常の授業は?  音楽中心だが,他教科の実践は?

A.国語でも毛筆の書写,生活科,社会,図工,家庭科など。国際理解推進委員会やすこやか委員会がある。

Q2.教師が授業を開くのに抵抗があるが,一緒に授業作りをするときの苦労は?

A.年間指導計画に入っていなかったが,平成11年度に取り入れた.担任に、どれをしたいか洗い出してもらい、それを推進委員会にかけ、できるかできないかを検討し学校へ提出。中心は担任の指導内容のねらいを中心にした.どちらもできることできないことをハッキリ言う。

Q3.ボランティアのしごとは、人材を集めてミニコンサートを仕切るというのでいいのですか。何円も続いてくると支援者を通さなくてもいいのではないか。また、存在価値は?

A.生涯学習の研修に参加したり,授業の反省などを話し合い向上を目指している.本人の生涯学習として。

Q4.学社融合が地域に影響を与えていると思うのだが,子どもや講師などは、地域でどうですか。講師側のメリットはなんですか?

A.子どもたちの喜び=自分たちの喜びというのがメリットではないでしょうか?

Q5.学校の教師の立場からとしては、講師を呼んでの授業と自分一人で組む授業とではどっちがラクですか?

A.どちらかというと,自分ひとりの方がラクだが、子どものつまらなそうな表情からむなしさを感じるだろう。担任の先生は不安そうだったが、その不安を取り除くのも仕事。学校のスリム化につながっている。お任せする面があり、いいのではないか。

感想

・人材活用に大変なことは人集めではないかと思う。学校の方がメリットが多すぎると思うが,融合を考えたらボランティアの立場からはどう思うだろう。

・参観して,ミニコンサートで終りかと思ったが,その後の授業を見て感動した。子どもたちはほとんど全員が集中している姿をみてすばらしかった。五感を働かせていた。自分がはじめて生演奏を聞いたときの感動を思い出した。指導案に「〜させる。」という表現が使ってあるがやめてほしい。

・学校で地域の人との合唱を行っている。お礼に手紙のやりとりなどもしている。

・ホンネで話すことにより,メリットを明確にしていくことが大切なので,明日の分科会でも深く討議してほしい。

●第1日目・第3分科会 「学社融合ですすめる国際理解教育」
        鹿沼市国際理解教育支援ボランティアネットワーク  提言者 山本和子 様
        司会;車育子  記録;野澤桂子

<グローバルグループについて>

・国際交流の歴史  鹿沼に住む外国人が困らないようにと集まった5人から始まった
・国際交流の活動  鹿沼の外国人向けの地図(手作り)
             手作りパーティ → 異文化のまなび
             鹿沼の紹介(まつり、日光へ)
             ニュースレター    ※教えているつもりが逆に学ぶことが多かった
   外国人のための文化講座
       ↓
      場所を学校へ   学社融合の始まり
※ 石川小から要請があった


  1年目  1〜6年生 国語の教科書を読み、どこに国際理解教育が入るかをピックアップした
  2年目  5〜6年・家庭科、1〜2年・生活科、1〜6年・音楽・道徳・体育(ダンス)
        家庭学級、PTAの講座
※ 特技を持っている人をつなぐのが仕事

・ 他校からも希望が増えてきた → 各小学校にボランティアをおいてもらって運営を
                       手伝ってもらえるかと働きかけ、広げていった
     → 公開研究(人権教育) 人種差別の実態に驚き、活動の重要性を認識した
     → インターネット、メールによる広がりを実感
     → 15校目に広がっている。31校全てに広げていくことを目指す。
・石川小 第1号・6年前       グローバルに相談
・中国、モンゴルなど16以上の国の人々が来校  民族衣装、料理 など
・問題点  その場限りになりがちである。
        講師料などの活動資金を集めるのが苦労。
        ボランティアであるがゆえの苦しみ(人が少ない)
・成果    自分が楽しいと感じたから長く続いた。さらに、広めていきたい。
        少人数でも設定できるようPTAや地域との協力ができた。
        インターネットで知り合った人もおり、長く続けたい。
・北犬飼中
  保護者と共に給食を食べる
  ・もっと、参加者を増やしていきたい。

・菊沢東小 3年前・種々の実践
   人権教育(外国人への偏見) → グローバルに依頼

・ボランティア情報、ボランティアだよりの発行 
  撮影、駐車場などのお手伝いの保護者 → 大盛況 → 楽しかったと言われるのが励み
  パソコンボランティア    都合のつく保護者一人でも二人でも
  国際理解教育ボランティア  人数が少ないため合併
  → ボランティア 忙しすぎて無理がきているのが課題。ただ子どもたちの感謝で疲れもとぶ。

・東小 グローバルグループの中の保護者
  外国籍の児童・保護者(スウェーデン)  孤立させないための活動
  ・PTAと共催の料理教室、環境問題を考える
  ・学校から協力依頼、子ども達は言葉の壁は心配ない。 
  ・交流を続けたい。大変だったが喜んでもらえて嬉しかった。

・北小 1年半前 3人から
  地域が教育支援をおこなう「北クラブ」のひとつ
  ・子どもたちと保護者の両方に情報提供、企画運営を行う(料理教室等)
  ・教育について語り合える、料理プラスαがあってよかった。
  ・文通が始まり、翻訳のお手伝いをしているが、アメリカでも日本の学習を開始。
  ・ボランティア自信の勉強にもなっている。

・西中 
  書道のボランティアとして活動
  ・教科ごとに教師が変わる中学校での難しさ。通常の授業の中に活動の場を見つける難しさがある。 → しかし、実現できた喜び。

・北押原小
  中国人の子どもに日本を教える活動
  ・二人で3ヶ月行ったが、講師がいて質問にすぐ答えられる良さ
  ・国際理解ボランティアの掲示板をつくり、募集にも貢献。一緒に活動し感動したい。

・津田小
  親子レクリエーションでの取り組み
  ・その国独特の遊びを取り入れてやったが、もっとたくさんやりたいという感想が多い。

・池の森 
  一日世界一周旅行を実施。スタンプラリー形式で各国の遊びや歌を体験した。


 開発教育協議会 中村 様

  「つながれ開発教育」という本   国際理解教育に経済など現実的な垢抜けた教育(NGO)
  パートナーシップを地域の中でさらに広げれば、相互に有効
   ・学校(先生が) → 地域へ
   ・地域(国際交流協会) → 学校へ
   ・地域作り、福祉、人権、文化をつくる ネットワーク作り
   ・子どもたちが体験して共感するリアリティが大切

●第1日目・第4分科会

●第1日目・第5分科会

発表1「板荷ふるさとオペレッタ2000はこうしてつくられた」

***手づくりにこだわったオペレッタ2000***

   事例発表者  酒井 直江・福田 冷子・堀川 佳子
   司会      庄子 平弥(融合研・副会長)
   会場      古峰の間 : 参加者  31名

事例発表者の自己紹介の後、VTRを上映しながら酒井さんから各項目について説明が加えられた。

手づくり その1 劇のテーマ「夏の発表だから、戦争のことをやろう」〜子どもたちからの提案
手づくり その2 台本をつくる資料が何もない〜子どもたちが近所のお年寄りに聞取り調査
            ・中学生が中心に運営。
手づくり その3 台本づくり〜グループごとに、ひと場面ずつ台本をつくってゆく
手づくり その4 動作づくり〜グループごとに自分たちで考えた台本に基づいた寸劇をつくる
           最もよくできたグループの寸劇を本番用に選ぶ
手づくり その5 歌づくり〜子どもたちの作詞・作曲
手づくり その6 大道具・小道具〜お父さん・お母さんをはじめとして家族みんなが参加してつくる
           その他地域の皆さんも参加して手づくり
            ・トウモロコシやススキなどセットはできるだけ本物を使用
手づくり その7 演技・衣装〜おじいちゃん、おばあちゃんが練習に参加して指導
手づくり その8 照明・黒子〜お母さんたちが奮闘
手づくり その9 当日の会場係〜お父さん、高校生・中学生が駐車場、受付などに参加
手づくり その10 発表を地域の皆さんで支援〜500人もの人々が声援・支援
 ※出演者 28名。スタッフ 30名。ボランティア 20名。
 ※子どもの声「地域の人と関わりが深くなってよかった。」
 地域の人の声「子どもたちに声をかけやすくなった。」

※福田先生の感想「だれかが認めてあげれば、子どもはやる気を起こす。子どもは与えられればできる。」「またオペレッタを開きたいという気持ちは子どもの純粋な気持ちが大きく影響している。その心が地域の人々に通じる」「子どもたちにはやる気がある。そのやる気がいつまで持続できるかが課題。」

続いて 発表2、発表3について、資料による説明があった。

発表2 地域と学校で支え、育む中学生の社会参加活動
     荷コミュニティカレッジ選択家庭科

発表3 コミュニティカレッジの講座が授業になった

心を育てる読書の街づくりをめざして、市民自らが生み出したKLV活動は、1992年3月に誕生、10年の歩みについて概要の説明があった。

学校の施設開放を生かしてつくられた住民大学の趣旨、現況、授業で使われない時間は、シャッターで仕切られ、教育委員会・公民館が管理責任を持つ制度・仕組みについて概要の説明があった。
 続いて、福田さんから学区内に住む一人の教員(鹿沼市内の他校の教員)が、作詞・作曲と歌唱指導に携わった経緯と子供たちが作曲した譜面のパソコンによる編曲指導した流れと感想を披露した。
 最後に、堀川さんからKLV活動の地域ボランティア活動を通じて、オペレッタ活動を支援し支えて来た経緯と感想を披露された。

 発表説明に続いて、参加者との一問一答形式による論議が行なわれた。


その1について

○板荷(「いたが」と読む)地区とはどんな地区か

人口2,000名、農山村である。小中学校が各1校、各校・学年ともに1クラスの小規模学校である。シャッターで仕切られた開放施設は中学校が新築された6年前に新設された

○鹿沼市内はそのような施設が他にもつくられているのか

 板荷中学校だけである。現在新築中の中学校には、同様の施設がつくられると聞いている。

○人口2,000の地区から500人もの参加者を集めることは大変なことである。どのようにして参加者を集めるのか

 地域の公民館だよりで募集をかける。上演協力金は、高校生以上500円である。
 台本づくりの段階から住民総参加型であり、関心が高い。

○台本づくり等全て子供たちの自主的な制作で行なわれているのか

 「全て手づくり」であり、子どもたちの着想で、想いを強く持ち、聞取り調査から始めた。
 場面場面でのセリフも子供たち同志で考え、ことばも動きも自分で考える。あらかじめつくられた台本はない。衣装も持ち寄り、現実に聞いた話を再現する。
 召集令状を持ってきた役の中学生は「この衣装に重みを感じる」と語っていた。
 鹿沼では、実際に空襲警報でトウモロコシ畑や麻畑に逃げ込んだので、オペレッタではトウモロコシの現物を舞台に運び込んで再現した。

○オペレッタの中で歌われた作詞・作曲は、誰が担当したのか

 全て子供たちが聞取ったお年寄りの当時の話に感動しながら、そのイメージをもとに作詞し、作曲して歌いだしたものであり、心の中の想いを表現した。作曲は譜面をパソコンで採譜してつくった。

○台本づくりは、どのように組み立てられたのか

 子供たちは体験がないので、イメージだけであり、地域のおじいちゃん・おばあちゃんの指導を受け、グループごとに台本をつくり寸劇し合い、各グループの良いところをつなぎ合わせて表現した。
 あらかじめ誰かが作った台本を押し付けて演技させた部分は全くない。

○このオペレッタを通じて、関係した人々は何を学び取ったか

・戦争劇を通じて平和の尊さを肌で感じ、平和を誓った。
・郷土愛・地域を愛する心の芽生え、地域の人々と子供たちの一体感が醸成された。
・一人ひとりが全員主役であり、助け合いによってつくられる過程の大切さを知った。

出席者からの発言・質問

○市川市のナーチャリングコミュニティ「子ども劇場」は1年で終わった。

演技者の年齢差あり、時間が合わない。子どもが塾通い等で忙しい。
子供たちの「やりたい」気持ちの持続性が困難である。
板荷が3年続く秘訣を聞きたい。

答弁

・創作・リハーサルは、5月〜8月の短期で仕上げる。
・先生・地域・保護者・行政の大人との合作、きちんとした「あいさつ」をして始める。
・子供たちに演技を押し付けることが無い。子供たちが主役であり、その考え方が台本に全て反映する。
・練習日には、楽しいので休まない。休む時は親が代役で練習する。
・自由に練習できる施設が身近にある。
・現場中学校の教師、学区内に居住する教師等進んで協力する。
・地域でのお祭りや行事が多く、地域の一体感がある。

○秋津での事例として幕張で1回行なったが、台本に参加者の意向を入れるようには初めからなっていなかった。中心になる人のイメージで台本は作成された。結果として、その後の発表依頼に誰も乗って来なかった。板荷での成功の秘訣が分かった。 演技を子供たちに押し付けないことが素晴らしいと感じた。

 

【回答】

・子どもの演技を誉める。伸ばす。認める。素直な心を表現させる。
・周りの子どもも「認める」失敗を責めない。アドバイスを与える。 
 誉めて、ほめて、また誉める。このことで、持っている力以上のものが出せる。 
 そして、最後の感動が、また子どもを動かす。
 喜び、涙、苦労が全て皆で分かち合う⇔一体感が生まれる。

【総括】

 大人→認める。誉める。  子ども→自分を認めて欲しい。
 教員として自分の勤めている学校だけでなく、地域でもできることに参画する必要性を感じた。


その2について

・本の貸し出しや読み聞かせ、紙芝居、
・中学生が読み聞かせや図書館活動(KLV・jr)
  K;カヌマ  L;ライブラリィ  V;ボランティア
・発表の場を与える。子どもと大人の共通の話題が持てる。地域でも声掛けが出来る。


【出席者からの総括意見】

施設に恵まれる。恵まれない云々は関係無い。一歩踏み出すことの大切さを教えられた。

終了時刻 17:20 時間切れで、その3については触れることが出来なかった。


【司会者からの総括意見】

板荷ふるさとオペレッタ2000の事例は、あらゆる面から考えても、まさに学社融合の先進的実験事例であり、融合教育の生み出すエネルギーの素晴らしさを充分に示している。

融合教育と総合的学習時間の複合的活用についてあらゆる実践活動を期待したい。

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